会長の時間
【2013-2014】
第2365回 例会
日時:2014/01/29
場所:ホテル白菊
会長:高田 利徳
職業倫理の提唱
自由競争社会を生き抜いていく時に、勝利者になる過程において、敗者を救済しながら栄えていく、共存共栄の道を模索することによって、初めて、自分は、一私企業の社長にとどまらず、世のため人のための支柱にもなっている自分であるという自覚を持つことができるのであり、自分のためのものである職業が同時に人のための奉仕にもなるのであります。
ここに人生の意義があるのでありまして、自分のことだけ考えている人生には、何らの意味もありません。自分も儲ける、しかしその儲ける考え方は同時に周りの人たちも儲ける策を作って行く、こういう形になって初めて、二度とない人生を意義あらしめることができるのではないでしょうか。これは甘えの論理ではありませんので注意しなければなりません。
次、第2に「倫理の提唱」の問題であります。
同業者の共存共栄のためには、ノウハウの公開の他に倫理の提唱が必要であります。業界を浄化し、明るくしていく、そして共存共栄の実を上げるためには、同業者がお互いに、なすべき事、なすべからざる事を誓いあい、これを地域社会の職業人に対して提唱する必要があります。これは、ロータリーが倫理運動であることの面目躍如たる場面でありまして、職業を通じて社会に奉仕する典型的な事例であります。ロータリークラブの例会は、上質な職業人の発想の交換、自己研鎖の場であります。ロータリアンは発想の交換とか自己研鎖によってよりよき自分を自覚していくわけでありますが、それぞれ企業経験を中心にしておりますから、企業観、経営観の改善という形につながって参ります。そこで、その経営観の総和をとらえてみますと、地域社会に存在する全ての職業に適用せられるべき理想的な職業観、職業の倫理を宣言することができるのであります。
最初にこの宣言をしたのが、1915年のサンフランシスコ国際大会おけるあの『全分野の職業人を対象とするロータリー倫理訓』(別名・ロータリー道徳律)であります。
その後、昭和3年(1928)大連ロータリークラブの古沢丈作氏がこれを発見し、5ケ条の日本語に書き改めました。これが『大連クラブのロータリー宣言』であります。これらが戦前の日本のロータリアンの職業奉仕のバックボーン
となっていたことは、紛れもない事実であります。
戦後の日本のロータリーでは、束京浅草ロータリークラブの『玩具職業人倫理宣言』があり、最近では、平成7年6月28日の仙台青葉ロータリークラブの宣言した『職業宣言』があるそうです。