会長の時間
【2013-2014】
第2345回 例会
日時:2013/08/28
場所:ホテル白菊
会長:高田 利徳
本日は、平野ガバナー補佐が提供していただいたロータリーの女性会員の資料をお話しいたします。
1989 年、ロータリーにとって大きな出来事がありました。この年の7 月、女性がロータリークラブに入会することが、正式にできるようになったのです。ロータリークラブは、1905 年2 月23日、ポール・ハリスを中心に4 人の男性によってスタートし、その後、長い間、男性だけの組織として、成長を続けてきました。1950 年、国際ロータリー(RI)の年次大会で、インドのロータリークラブが、標準ロータリークラブ定款から「男性(male)」という言葉を削除するという規定審議会への制定案を提案。また、1964年以降、規定審議会において、女性会員の入会に関する提案が何度も出されましたが、すべて否決されてきました。
1977 年、アメリカ・カリフォルニア州のデュアルテロータリークラブ(RC)は、女性の入会を認めました。しかし、当時、女性の入会は、RI定款やロータリークラブ定款で認めているものではありませんでした。その結果、同クラブは、1978 年3 月、RIへの加盟が終結されることになりました。
これに対して、同クラブは訴訟を起こしますが、1980 年、カリフォルニア州最高裁判所は、国際ロータリーを支持する判決を出しました。1986 年、控訴裁判所は、下級裁判所の判決を覆しましたが、カリフォルニア州最高裁判所はこの決定を退け、クラブは合衆国連邦最高裁判所に控訴しました。
1987 年、連邦最高裁判所は、「ロータリークラブが、性別を理由に女性を会員として拒否することはできない」という判決を下しました。この判決を受けて、「アメリカのロータリークラブは、資格を満たす条件を入会できる」とする方針声明を発表しました。
1989 年、判決後に初めて開かれた規定審議会で、「ロータリークラブの会員は男性だけに限られる」とする定款を削除する案を可決。1989 年7 月から、世界中のロータリークラブで女性の入会が認められることになりました。
ちなみに、デュアルテRCは1986 年9 月にRIに復帰。最初の女性会員は、同クラブのシルビア・ウッド氏です。なお、連邦最高裁の判決後の1987 年5 月28 日、女性の創立会員を含めた初めてのクラブとして、カリフォルニア州に、ラークスバー・ランディRC(現・マリン・サンライズRC)ができました。
当時、『ロータリーの友』でも、女性会員に関するアメリカでの裁判の記事、女性会員入会の賛否などの記事が誌面をにぎわしていました。
現在、女性会員はクラブだけでなく、地区の委員長、ガバナー、さらには、RI理事やロータリー財団管理委員を務めるなど、地区やRIでも活躍しています。
日本で初めての女性会員は、第2500 地区・北海道清水RC(現・清水RC)の松田郁子氏。その後、徐々にですが、その他のクラブでも女性会員の入会が認められるようになり、数年後には、女性が会長になるクラブも出てきました。
日本でも地区の委員長やガバナー補佐を務める女性会員が増え、ガバナーに就任した女性会員も3 人いますが、残念ながら、女性会員が一人もいないクラブも半数近くあります。女性会員の割合も、世界平均の17.6%に対して、4.8%とはるかに及びません。
職業、年齢など、多様性を重んじるロータリーですが、女性会員の入会によって更なる多様性を加え、より多くのアイデア、より多くのニーズを吸収できる組織へと発展していってほしいものです。
(『ロータリーの友』編集長 二神典子氏 文)