会長の時間
【2012-2013】
第2314回 例会
日時:2012/12/12
場所:ホテル白菊
会長:田中 俊一
私の家に6年前ホームステイに来たAPUのスリランカ人の学生同士が結婚し子供ができました。母親が半年余り来日し、12日にスリランカに帰るというのに、まだ雪を見たことがないというので、日曜日九重に連れて行きました。ちょうどその日は大雪で水分トンネルを抜けると、一面銀世界でした。道路も周りの木々も空さえ雪で真っ白でした。気温はマイナス9度でした。毎年雪が降ると九重に行くのですが、牡丹雪の中を行くということは稀です。その母親は日本にきて今までで一番感動しましたといっていました。ちなみに子供の名前は“みどり”とつけたそうです。
11月号のロータリーの友の中に静岡文化芸術大学学長の熊倉功夫さんの”日本人の美意識“という一文があります。多分皆さんお読みになってないでしょうから簡単に要旨をお話しします.食について、日本ほど自然の食材を自然のまま食べるという文化はほかにない。例えば世界でも珍しい片刃の包丁というものがあります。これは両刃で刺身をひくと切った断面がつぶされますが、片刃だとその細胞までが切り取られるそうです。だから魚のうまみがそのまま残るそうです。また日本人の美意識を表現する言葉として”花鳥風月“という言葉があります。昔から花というとそれだけで桜を指します。桜は大和言葉です。なぜ桜だけ花見をするかといえば、桜が普通の木と違うからです。桜の”さ”は農業の神様のことを指します。この時期には、早乙女、五月、早苗という農業に関するものに“さ”の字がつきます。蔵というのは神様のいるところです。桜の花が咲いた、いよいよ神様が里に帰ってきて農業を守ってくれる。だから桜の下で神様にお供えをしよう、そしてついでに自分達も食べよう。これが花見だそうです。鳥とは何か。動物一般の代表だそうです。鶏は昔は食べませんでした。なぜかというと庭の鳥だからです。身内だからです。じゃあなぜ鶏を飼っていたか。時を知らせるために鶏がいたそうです。鳥の声ももちろんですが虫の声さえ日本人は楽しみます。西洋人には雑音にしか聞こえないそうです。
次は風についてですけど、風が吹くというだけで、その風の音とか風の流れを感じるところに日本人の独特の感覚があります。見えないものの中に大事なものを感じる。このあたりが日本人の美意識の大きなポイントになります。
最後に月ですが。月は大宇宙を象徴しています。和歌の世界で太陽を歌った歌はほとんどありません。ほとんど月を歌っています。ところが万葉集の中には月を歌った歌は少ないそうです。古今集、新古今集、と時代が下がるにつれて月の歌が増えていきます。日本が日本らしさを持つのは中世以降だそうです。それ以前は中国の影響が多く、かなができた10世紀あたりから日本が独特の文化を持ってくるそうです。そして月の歌も増えていったと思われます。月は自ら光るわけではなくみんなの光を受けながら輝きます。これが月の文化です。さらにその月さえ煌々と照り輝くのではなく,見え隠れする月がいい、これが中世の美意識だそうです。完全無欠なものでなくいろいろ障害がある存在こそ尊いものであり、それこそ本来の人間の姿だと、これが中世になって生まれた日本らしさであるといってます。
私の要約ではよくわからないでしょうから詳しいことはロータリーの友11月号を読んでみてください。世界のロータリーと手をつないでいくことは当然ですけど。その中でも日本独自のロータリー感もあってもいい気もします。聖書を理解してなくては本当のロータリーを理解するのは難しいというのを聞いたこともあります。今日はこの後年に一度の総会があり忘年会があります。やっと半期が過ぎそうです。