会長の時間

【2012-2013】

第2312回 例会

日時:2012/11/28

場所:ホテル白菊

会長:田中俊一


今日は九重のことを少し話してみたいと思います。私が生まれたのは山香町、立石という田舎です。小さいころから星をよく眺めていました。あの星に降りたらどんな景色が見えるのだろう、そこから空を見るとどうなんだろう。宇宙の果てはどうなっているだろうとか、そういう思いで星を見ていました。オリオン座の赤い星、ペテルギウスが好きでした。もちろん当時は星の名前など知りませんでした。

高校1年の時、友達3人で九重山に登りました。沢水のキャンプ場から見た夜空は満天の星というにふさわしいものでした。山香でも星は良く見えたのですが山間の町なので空が小さく,満天の星ではありませんでした。

 そういう事が原体験となって、ある程度余裕ができたらぜひ九重に別荘を持ちたいと思うようになりました。随分探しました。でも地元の人はなかなか土地を売りたがりません。売ってる土地は気に入りません。ある日普段は通らない道をなんとなく土地を探しながらドライブしていると、何も使ってない斜面の土地がありました。畑にもならない土地なので、ひょっとしたらと思い近くで農作業している人に、あの土地は売らないだろうかと聞いてみました。すると“あの土地なら売るかも知らんなー”ということでその人に間に立ってもらえるようお願いしました。それからも簡単ではなかったのですが、土地を買うことができました。そして念願の家を建てることができました。 

 星をテーマに玄関ポーチは天の川に見立ててタイルをはめ込みました。建具も星座を描いています。星見台も作りました。ところが意外に九重は星を見るのには適していませんでした。冬は寒いし、夏も夜露が多く望遠鏡に水滴がたまります。そのうちにその土地を紹介してくれた人と仲良くなり、高橋さんというのですけど、その高橋さんに勧められて畑を少し借りて大根を植えてみました。それなりにしかできなかったのですが、だんだん面白くなり、大豆、胡瓜、トマト、ジャガイモ、トウモロコシと種類も増やし面積も1反、2反と増えていきました。農業の経験は全くないので、すべて高橋さんから教えてもらいました。種の蒔き方、畝の作り方、草の取り方、土のかけ方、追肥の方法。本当にすべてを教えていただきました。今では星を見ることも少なくなり農業三昧です。あの時あの道を車で通らなかったなら、高橋さんに出会わなかったら、声をかけなかったら、私の人生は変わっていました。人生で出会いというのは本当に大切だと思います。その出会いによってその人の人生が変わることもあります。

 私の人生で先生と呼べる人は何人かいますが、高橋さんも間違いなくその中の一人です。

 最近は肺がんで歩くのも大変みたいで、酸素ボンベを引きずりながら農作業をしていました。それでも私の畑に目をかけいろいろアドバイスをしてくれました。今年の農業はほとんど終わりですけど。来年になって川のそばのこぶしの花が咲くころにジャガイモを植えます。これも高橋さんに習いました。

今日の1時からあなたのお葬式です。もうすぐはじまります。来年も頑張って、トウモロコシやサツマイモを作り奉仕に役立てたいと思います。あなたに会えたことを感謝します。

 

  

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