俳句愛好会
8月句会
場 所:割烹「鈴よし」
日 時:2011/08/25 19:00~
今月の季題:鳳仙花 送り火
参加者数:9名
選考作品数:27作品
▼次回予定▼
9月22日(木) 季語 「十六夜」・「月」・「流」
季題:
句会模様
今月の特選句は久しぶりに田中扇山さんでした。おめでとうございます。作品 「三姉妹 みんな嫁いで 鳳仙花」 は娘さんたちがみんな嫁いでしまい、二階の空き部屋を見る度に子供さんたちの幸せを願っている優しい扇山さんを想像します。
鳳仙花は釣船草(つりぶねそう)科で学名はラテン語の『impatiens(インパチエンス):我慢できない』が語源だそうです。種子が熟すると勢いよくはじけ飛ぶことからで花言葉は「鮮やかな人」、『豊かさ』だそうです。
私も子供の頃に触ると実がはじけたのを覚えています。木原さんの作品「本懐ぞ 熟れてはじけて 鳳仙花」や松原さんの「鳳仙花 触れなば割れん 思いかな」はまさにそのとおりですね。大野さんの「鳳仙花 叶わぬ思い 夢を見る」もなんとなくわかるような気がします。私は、歌手の島倉千代子さんが歌っていた「鳳仙花」を思い出しました。昔の歌はやはり歌詞がすばらしいですね。では一番を歌います。♪♪♪・・やっぱり器用に 生きられないね 似たような二人と笑ってた 鳳仙花 鳳仙花 はじけてとんだ 花だけど 咲かせてほしの あなたの胸で ・・♪♪
それからもう一つの季語「迎え火」ですが今回は東日本の震災に関しての作品がいくつかありました。谷本さんの「迎え火も なき被災地や 海黙る」、扇山さんの「迎え火を 焚く門もなく 町もなく」、河野さんの「新涼や 膚に感じぬ 放射線」です。
お盆には瓜の馬やナスの牛を作りますが馬、牛には意味があるということを今回知りました。ご先祖様は、久しぶりのお盆なので少しでも速く帰りたいので馬に乗りせかせて走らせ、また送り火は、ご先祖様が帰られる時、名残惜しいのでゆっくりゆっくり帰るためにスピードの遅い牛に乗って帰られるそうです。私の作品はそんな気持ちです。
今回の句会は久しぶりに割烹「鈴よし」で行いましたのでみんな大量にお酒を飲んで盛り上がりました。料理は元高校球児で気風のいい大将からシャブシャブを用意していただきました。美味しかったですね。ご馳走様でした。
次回は9月22日(木) 季題は「十六夜」または「月」、「流」です。流の場合は別に季語が必要です。ではまた次回お会いしましょう。・・・竹山
今月の特選句
三姉妹 みんな嫁いで 鳳仙花 田中扇山
今月の準特選句
迎え火も なき被災地や 海黙る 谷本
只今と 送り火揺らし 合図かな 加藤竹山
寂光院 読経の声や 鳳仙花 山本桃潤
本懐ぞ 熟れてはじけて 鳳仙花 木原
旅立ちは 大音響の 鳳仙花 松原
ちちははの 知らぬ町にて 門火焚く 河野
鳳仙花 叶わぬ思い 夢を見る 大野
迎え火や あなたの気配 ここにあり 森
その他の句
迎え火を 焚く門もなく 町もなく 田中扇山
迎え火が 静かに揺れて 御魂かな 田中扇山
いつよりか 迎え火焚かず 集う里 谷本
カダフィーも リビアも風と 鳳仙花 谷本
迎え火や 速く走れと 瓜の馬 加藤竹山
送り火や 帰りはゆっくり 茄子の牛 加藤竹山
家中の 明り灯して 迎え火と 山本桃潤
迎え火や 母の帰りし 気配あり 山本桃潤
迎火や すたれていくのか ただひとつ 木原
霊迎え 一人座敷の 回顧かな 木原
迎え火に 思い出すこと 多くなり 松原
鳳仙花 触れなば割れん 思いかな 松原
鳳仙花 廃校に咲き 元気元気 河野
新涼や 膚に感じぬ 放射線 河野
迎え火に 元気だったか 話しかけ 大野
迎え火を 灯す顔には 笑み浮かぶ 大野
迎え火や 玄関障子 開けて待つ 森
亡き母に 飾り灯籠 孫(こ)らの声 森